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今年4月1日より、後期高齢者医療制度が施行された。施行と同時に、この制度への不安やとまどい、怒りの声が全国津々浦々で溢れている。4月15日の第一回の年金天引きに続き、6月13日には二度目の年金天引きが実施されようとしている。また国会においては国民注視のもとで、野党合同による「廃止法案」と与党による「手直し」が議論されている。
京都民主医療機関連合会では、この間の高齢者の不安や怒りの大きさから、その実態調査を行うことが必要と考え、調査を実施し、ここに中間まとめを取りまとめたので報告する。
【調査概要】
| 1.調査期間 |
2008年4月15日〜5月31日 |
| 2.調査対象 |
病院、診療所、保険薬局等の外来患者、在宅療養中、施設の利用者のうち、75歳以上の方387名 |
| 3.調査方法 |
京都民主医療機関連合会に加盟する事業所職員による直接面接方式による聞き取り調査 |
| 4.調査場所 |
京都市内311件、向日市21件、綾部市21件、福知山市24件、京丹後市5 件、宇治市5件 |
| 5.調査員人数 |
148名 |
【アンケート集計】
こちらをご覧下さい(PDF)
【調査結果の特徴】
(1)「制度の内容について知らない」と回答した方が、37.2%
調査対象者の四割近くが、制度について知らないと回答された。高齢者は通り一遍の説明では、理解が得にくい実態であり、国の周知不足が露呈している。「送られてくる書類も目が悪く読めない」「知らせがきて、区役所にいったが、わからなかった。」などの声も出されており、開始後の広報においても解決していないことが推測される。引き続き、広域連合をはじめとした行政により、充分な時間も人も使って、お一人お一人への理解をいただくための手立てが必要であることが示されている。
(2)保険料負担は、「高くなった」と回答した方が、41.3%
保険料が、3月までと比べ「高くなった方」が、4割を超えた。「安くなった方」は10,3%、一方で「あまり変わらない」「どちらとも言えない」の合計が34.6%であった。
国の説明では、当初「ほとんどの方の保険料が安くなる」から直近では「7割の方が軽減となる」としているが、野党からは「実態とは違う」との指摘もある。今回のアンケートの結果で出ているのは、国の調査結果とは異なる結果となっている。調査の中で、多くの高齢者の方から保険料徴収により生活圧迫の声が出されていることから、低所得者層での負担増の傾向が推測される。
なお、多くの調査対象者が、国民健康保険の加入者であり、国保の保険料は自治体により差が大きいため、一律の比較は難しい。「負担の軽減」を述べるのであれば、自治体のモデルケースの比較だけにとどまらず、自治体毎、所得階層ごと実数で何人が引きあがり、何人が下がったのかを明らかにして、その実数の合算をしないと正確な比率は出ないと思われる。
また、「保険は個人単位だが、保険料は世帯の所得を基礎として行う」ことは納得できないとの声も多く見られ、制度設計についての反対意見も多く見られた。
(3)「保険料の天引き」は、53.7%の方が、「困るのでやめてほしい」
保険料の天引きは、53.7%の方が「困るのでやめてほしい」と答え、「良いことだ」は、わずかに5,7%に留まっている。
「困るのでやめてほしい」とのお答えの中で、「天引きで生活算段がつかない」「(自営業で収入の多い月もあれば、赤字の月もある)国保料10回を遅れながらでも何とか支払ってきた」「天引きについては何の説明も受けていない」などの声が出されており、高齢者の厳しい生活実態、生活のやりくりの実態に対して配慮のない施策が強い反発となっている。
(4)窓口負担は「変わらない」49.4%
窓口負担は、変わらないが49,4%、高くなった方は9,3%であった。「下がった」方は2,1%であった。窓口負担の引き上げの凍結が行われていることも影響していると思われるが、今後、負担割合が増えるならば大きな反発が拡大すると他の質問項目とあわせて考えると予想される。
(5)制度開始で困ったことはがある方は、41.1%
「制度開始で困ったことがある」と回答した方は、4割となっている。「3月まで保険料は要らなかったのに半年後から払わなければならない、生活がたいへん」「介護保険料とあわせて引かれ年金が1万円しか残らない」など負担増に対する困窮状態が多く出されている。また、今後の保険料の増加が制度として決まっていることへの不安、医療内容が制限されるのではという不安も多い。また、後期高齢者という言われ方への強い反発、人権無視に聞こえるなども目立った。
(6)後期高齢者の声の特徴
こちらをご覧下さい(PDF)
【まとめ】
今回、387名の対象の方にご協力いただき調査を実施した。この中から浮かび上がったのは、「厳しい高齢者の生活実態」の中で、この後期高齢者医療制度による「負担」とともに、現在と将来に対しての「不安」が増加している姿である。周知のずさんさも背景にあるが、制度の持つ複雑さとともに、高齢者の医療費削減を目的とした保険料の徴収や、将来的な負担増、医療内容への不満、不安などが大きく、「戦前、戦中、戦後と国のために一生懸命尽くしてきたのに、いよいよ働けなくなった時に、こんなひどい扱いをされた」「戦中は赤紙1枚で死ね言われた、今度は後期高齢者の保険証で早く死ねといわれた、国に二度死ねと言われた」などさびしい気持ちを高齢者の中に広げている。
また「年金天引き」については、拒否に近い反応であり、個人の了解なしの年金天引きという制度を導入し保険収納率の向上をはかるという行政の一方的な理由はほとんど受け入れられていない。
京都民主医療機関連合会は、これまで、「手直し」でなく、「中止・撤回」を呼びかけてきたが、この制度の狙う国の医療給付費の総枠規制、削減という骨組みが残れば、一時的な保険料の減額などは行ったとしても、2年後には保険料の引き上げか、医療給付の切り下げ(医療内容の引き下げ)かを問われることになる。また来年以後には低所得者の中から資格証明書の発行が実施されるなどこの調査で出されている不安、不満は拡大するだけである。
私たちは、あらためて、多くの府民、医療関係者の声と共同してこの制度の中止・撤回をあらためて求めるものである。
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